ろこvsゴッキー

今日はお天気もよく、掃除・洗濯・布団干しと色んな事が捗って「満足、満足」と部屋でゴロゴロ涼んでいると、視界の隅に見逃せない影が走りました。
「も、もしや……」
急いで影が走った方向を見ると、そこには許し難き害虫ゴキブリが居たのです!
「ふ、ふぎゃー!」
突然の遭遇に大声で叫びそうになったのですが、部屋の窓が開いていた事もあり、大人なろこはどうにか堪えました。わ、わふ。それにしてもゴッキーめ。誰の許可を得てろこんちに侵入しやがったですか!? 許せん!! むっきー! 普段のろこには考えられない強気な態度ですが、それは遭遇したゴッキーが、辛うじて”ゴキブリではない何か別の虫”と自分に言い聞かせることの出来る範囲のサイズだったからです。そんなこんなで、何かいい武器は無い物かと見回すと、洗濯洗剤の箱が有ったので、それでバシバシとゴッキーを叩き始めました。しかし彼奴は、あの忌々しいクッション性のある肢体で、スルスルと逃げて行きやがるのです。むっきー! このままではいかんです。このままでは、ろこんちがゴッキーの巣窟になってしまうです。窮地に立たされたろこは、洗濯洗剤の箱という原始的な武器の使用を諦めて、殺虫剤を取りに部屋を出ました。
「ふふふ。これで彼奴を終わりにしてやるです……」
殺虫剤を手にしながら、聞きようによっては、とても強気な悪者っぽい思考ですが、実際は苦手なゴッキーに遭遇したショックで、胃が痛いくらいです。ふわわわーーん。
さて、文明の利器(?)を持って現場に戻ったろこは、愕然としました。そうです。彼奴を見失ってしまったのです。ふ、ふわわーーん。敵を見失ってしまうとは、どうすればいいのですかー。ふわわわーーん。余りのショックに訳が判らなくなったろこは、さっきまで彼奴が居た辺りを目掛け、殺虫剤をシューシュー振り掛けまくりました。すると見失っていた彼奴がカサカサとろこに向かって来たのです。きーっ! 相変わらず癇に障る動き方をする奴です! でも、飛んで火に入る夏の虫とは正にこの事です。ろこは「これでもか! これでもか!」と、彼奴に向けて殺虫剤を振り掛けました。なのに彼奴は衰えるどころか「それが何か?」と言わんばかりに、ろこを尻目に「ふふんふーん♪」と目の前を移動するのです。ろこはこんなにも殺虫剤で息苦しいというのにっ! むっきー! 殺虫剤に咳き込みながらも、このままでは埒が明かないと判断したろこは、咄嗟に先程棄てた原始的な武器、洗濯洗剤の箱を掴み揚げると、彼奴に目掛けて「てやーっ」と振り下ろしたのです。見事命中。そして彼奴はご臨終。よっしゃー!! ろこは彼奴の亡骸を誇らしげにティッシュで包み、ゴミ箱へと捨てました。
ゴッキーの巣窟になるのを未然に防いだろこは、誇らしげに再び部屋でゴロゴロし始めたのですが、ふと先程の戦場を見ると、そこには洗濯洗剤がバラバラと散らばっていました。……しょんぼり。