『我らが隣人の犯罪』宮部みゆき

読了。これは短編集ですが、ろこは「サボテンの花」が印象に残りました。それというのも、この作品は小学生の自由研究についてのお話なのですが、ろこも小学生の頃、自由研究で悩まされた事があったからです。
あれはろこが小学3年生の時です。自分なりに一生懸命調べた自由研究を鼻息荒く担任に提出すると、「こんな事を調べても、何の役にも立ちません。もっと勉強らしい研究をしなさい」と、誉められるどころか怒られるという、予想もしなかった出来事に見舞われ、ろこはショックを受けました。自由研究の内容は、当時のろこが好きだったフィギュアスケートの事でした。確かに役に立たないと言われれば、それまでですが、でも自由研究なのに自由にして叱られてしまったので、「じゃぁ自由研究って何?」と悩み込んでしまい、それ以降、自由研究が出来なくなってしまいました。すると今度は「何故、自由研究を提出しないのか」と叱られ、追い詰められたろこは、過去に自由研究で賞を貰った人のを写して提出するという、暴挙に出ました。しかし意外にもそれが先生に誉められるという展開に。当時のろことしては、他人の自由研究を盗んだ事がバレて、絶対に怒られると思っていたので、悪い事をした事を隠しつつ誉められている罪悪感と、「ここまでしないと*1、自由研究として認めてもらえないんだ!」と言う現実に、他の小学生はこれ位が当然なのに、自分はそれすら出来ないという事を思い知らされた様で、以前にも増して打ちのめされる事になってしまいました。
そんな感じに、ろこは余り利巧ではない子供だったので、色々思い悩んだりしましたが、今思えば、その担任的には自分でやろうが、他人のを写そうが、要は新聞にある月齢を毎日切り取ってスクラップしたり、子供新聞の記事の感想を書いたり、動植物の観察記録を付けたりなど、大人が子供を誉めるのに相応しい研究さえしておいてくれれば、問題なかったのでしょう。それはそれで今となっては判らなくは無いですが、「相手は小学生なんだから、自由な発想でやり遂げた事実くらいは認めてくれてもいいやん」と、未だに思ってしまいます。この考えって、少数派なのかしら? ろこみたいな小学生、めげるな!

我らが隣人の犯罪 (文春文庫)

我らが隣人の犯罪 (文春文庫)

*1:今想い起しても、その研究は子供1人じゃ出来ないのです。発想はともかく、必要な費用・環境からして無理。でも、やり遂げたのは、その子なので、確かに最優秀賞に相応しくはありますが……。